スノースクートライダーにもぜひ体験してほしいBMXレースの世界
- COLUMN
こんばんは。SnowscootMagazine編集担当・フォトグラファーのナオキングことガマンナオキです。
冬が近づくにつれ国内の状況もまた変わってきましたが、若干落ち着いていた9月10月は久しぶりに大会やイベントの撮影に行く日々を過ごしていました。その中でも印象的だった大会が、私自身も初めて撮影に行ったBMX「レース」の全日本選手権。BMXフリースタイルの話題はこのマガジンでも度々ご紹介してきたもののレースのことに触れることはほとんどなかったので、この機会にスノースクートライダーのみなさんにも「BMXレースの世界」をご紹介したいと思います。
BMXのジャンルについて
何度かこのマガジンでもご紹介してきましたが、スノースクートのルーツはBMX。スノースクートのはじまりの話はこの記事で詳しくご紹介しているので、まだご覧になっていない方はぜひ!
そのBMXは今から約50年前、1970年代初期に、アメリカ・カリフォルニアの子ども達が自転車でモトクロスを真似て遊んだのがBMXの起源と言われています。
時が経つにつれて様々なジャンルが生まれ、現在は大きく分けると「レース」と「フリースタイル」に、そしてフリースタイルの中でさらにパーク、ストリート、フラットランド、ダートジャンプというジャンルに細分化されています。
BMXレースとは
このマガジンで時々ご紹介してきた「BMXフリースタイル」は技の独自性や難易度、かっこよさなどを極めていくジャンルですが、BMXのレースでは、数々のジャンプやコーナー、リズムセクションと呼ばれる起伏などで構成される400メートルほどのコースを8人で(組み合わせによってはそれより少ない場合も。)一斉に走り、速さを競います。
複数人で走ることから時には接触、転倒などでハラハラさせられることもありますが、コースのこなし方やライン取りで大きく差がつくなどとても奥が深く、エキサイティングなジャンルです。
様々なジャンルがあるものの全て同じBMX。ジャンル問わず様々な楽しみ方をしているライダーも多いですが、使用される自転車の違いもあり、特にレースとフリースタイルの大会では集まるライダー層がかなり異なっていた印象です。
BMXレースは簡単に言うとスノースクートで言うところの「スノースクートクロス」ですが、今年はレースコースを走ったり全日本選手権を見る機会に恵まれ、実際にその世界に触れてみたところ、クロスレースだけでなく全てのジャンルにおいて繋がるものがあると感じ、多くのスクートライダーさんにも体験して欲しいと思いました。今回はそのあたりを中心にお話していきます。
レースコースを走るだけでBMX(=スノースクート)の扱い方が自然に上手くなる
前述の通りレースコースには様々な起伏やコーナーがあるので、それに合わせてBMXをコントロールしていく必要があります。その中でもこのマガジンでもよく出てくる「プッシュ(パンプ)」の動きは最重要です。
はじめはどうしてもギクシャクしてしまいますが、400メートルのレースコースでひたすらプッシュを繰り返していれば、いつの間にかタイミングが身につくはず。実際、今年岩手県大船渡にできたレースコースに通う子どもたち(BMX歴1年未満)は、会う度に大成長していて、小学校高学年の子だと既に追いつけません…。
プッシュはスノースクートの動きにも応用できるので、BMXの扱いが上手くなれば自然とスノースクートも上手くなること間違いなし。
プッシュができるようになってくるとスピードをのせていけるので、さらにロールやジャンプにもチャレンジしていけます。パークと比べると、レースコースはゆっくり走るだけなら怖くないところが多いので、徐々にチャレンジしていけるのも良いところです。
速さにタフになるので雪山でも良い効果が期待できる
速さを競うレースなので、スピードにタフでなければいけません。レースコースは5メートル程度の高さのスタートヒルからはじまるところが多いので、はじめからある程度のスピードが出ます。さらにそのまま起伏を越えコーナーを回っていかなければならないと考えると、自分がコントロールできるスピードの域をどんどん高めて行く必要があります。
それは雪山でのフリーランでも同じで、自分のコントロールできるスピード域が上がると様々な条件(斜度、雪のコンディション、地形)で余裕を持って滑ることができるようになります。フリースタイルが好きな方もスピード慣れしているとトリックをする際に余裕が生まれます。
スピードを出して滑らなくても良いのですが、スピードを出して滑ることができるようになると、楽しめる範囲が大きく広がる、というイメージです。
自分の限界を高めて行くと時にはバランスを崩したりしてヒヤッとすることもありますが、無理のない範囲で徐々にチャレンジしていけばリカバリー術も自然と身につき、とても良い練習になるでしょう。
クロスレース好きの方はスタート練習にも最適
そしてやはりレースと言えばスタート。スタートを制するものはレースを制すと言われるほどにスタートで前に出ることは最重要で、皆スタートの練習にもかなり力を入れています。
スノースクートなどウィンタースポーツのクロスレースでもそれは同様で、地元のスノーボードクロスのプロのみなさんは、「スタートで前に出られる=その分障害物が増えるということ。」とも言っていました。
とは言えウィンタースポーツのレースコースは特設のものが多く、常設コースがあるスキー場でもスタートゲートまではついていません。BMXレースコースに通ってゲート練習にも参加できるようになれば、技術の面でも気持ちの面でもかなり有利になりそうです。
BMXレースコースは大小様々各地にあり、公式戦以外にも小さなイベントやローカルレースなども行われています。クラス分けも4歳ほどの小さなお子さんのクラスから50歳オーバークラスまで細かく分かれていて、家族みんなで楽しめますよ!
天然の雪がたっぷり降るまでの間、また、冬でも乗れるコースもありますのでシーズン中の気分転換にも最適です。レンタルバイクが充実しているところも多いので、スノースクートライダーのみなさんも機会があればぜひBMXでレースコースにチャレンジしてみてください!