我満 隆が語るシグネチャーモデル「Style-G」ボード編|特性の解説から開発時の想いまで
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JYKK SNOWSCOOT ライダーの我満隆です。
今回はSTYLE-Gモデルに標準装備されるG-2ボードについて解説したいと思います。
前回解説したワイドなStyle-Gフレームに合わせて設計したボードが「G-2」ボードです。
自分のライディングスタイルに合わせたスノースクートが欲しいというとこから開発をスタートしました。
(Style-Fワイドフレームと開発初期の試作ボード)
朝イチはパウダーを滑り、午後はフリーラン~パークライディング。
僕の遊び方やボード操作の仕方を盛り込みながら、1番大事にしたのは自分が ”楽しく” ライディングできることです。
そしてこのボードを乗りこなすことでライディングレベルがさらに向上することをイメージし、これまでの経験を元にボード各部を設計しました。
スタンダードなスノースクートボードと比べるとかなりフトイです。
(左ONE, 右STYLE-G2015 太さの違いが分かり易いと思います)
ファットな形状で安定感を高めながらも取り回しが良く、ターンや地形遊び、パーク遊びで “板離れ” を良くするためのレングスになっています。
言葉にすると “ショート&ファット” という感じですね。
この “板離れ” に関しては特にこだわりが強い部分です。
テールが長いと安定しますが、長過ぎるとその分粘り過ぎて板離れが悪いと感じます。
レスポンスが遅く感じ、ターンでのパンピングや切返しのタイミングが気持ち悪く、またパークライディングなんかで使うバニーホップのタイミングが取り難くなります。
また逆にテールが短過ぎても粘りが足りずにすっぽ抜けたり捲れたり、レスポンスが速く色々とタイミングを取る事が難しくなります。
その粘りとレスポンスのバランスを取るのはとても難しく、文章にするのがほんと難しいのですが…
そうですね、バニーホップを例に取ると ”跳べる高さ” だけを考えるのではなく、常に安定して狙った高さ狙った場所に跳べるかを考えています。
何も無いところで80cm跳べても30cmのボックスに入れなかったら意味がない。
常に30cmの高さには安定して跳んで入れるようなイメージと言いますか。
ボードを考える上で安定感と操作性のバランスをどうするか?が凄く難しいところです。
“前後ボードの形状バランスを最適化し長さを抑えること” でダルな感じを解消。
そのためにフロントロッカー、リヤキャンバーの ”Sロッカー形状” を採用しました。
フロントボードをロッカー形状とし厚みに変化を持たせ、レングスは抑えることで振動の収束を早くさせるようにし、エッジの余計な引っかかりを抑制しながらボードを立てやすく。これによりターンインがスムーズに。
リヤボードはトラディショナルなキャンバー形状を採用し、トラクションとレスポンスを活かした滑りができます。
フレックスとトーションのバランスを考え、取り付け幅の最適化を行いました。
ひと言で言うと ”柔らかめのボード、しなやかなボードの動き出し初期の美味しいところを使い、動きすぎる部分は規制してあげる” イメージです。
様々なコンディションで遊べるように ”しなやか” なフレックスに。
ボード取付に非貫通ブッシュを採用することにより雪面への追従性が更にアップ。
ボードを立てているときもエッジグリップの変化が穏やかになりエッジが抜けづらくなりました。
しなやかなフレックスのボードはトーションも柔らかく出てしまい、ズレズレな滑りになりがちですが、非貫通ブッシュやボード形状、既出のボードの厚みに変化を持たせたこと等とのバランスを取るために、リヤボード取り付け位置をワイドにしました。
(開発初期の試作。販売されていないソフトボードで取付け幅の違いによる挙動を確認。)
ラジコンカー(クルマ)で例えると?😄スタビライザー的な効果でロールを抑えつつ、レスポンスを上げる =トーションを抑えレスポンスを上げるイメージ。
これによりしなやかなフレックスはそのままにトーションを抑えることができ(実際には捩じれていくに従って踏ん張るイメージ)ずらし易さとボードの立てやすさ、レスポンスの良さを両立することができ、ボードが雪面に対しどんな状態であるかが把握し易くやりました。
ターンでのスムーズで速い切返しや強いパンピングを可能にし ”前に出る”, “蹴りがイイ” 特性でクロスレースのスタートセクションやバンクドスラロームの競技でも抜群に調子が良くタイムも出ます。
パンプによりスピードが乗せやすいことはレースだけではなく、色々な遊び方をイメージさせてくれます。
(ボードのしなやかさ、板離れの良さ、レスポンスが分かり易い動画だと思います。)
しなやかな特性はボード重量にも好影響。
極端な言い方をするとハードなボードは基本的に重くなってしまいます。
僕のライディングイメージだと、身体から遠い部分にあるもの = ボード は極力軽くしたい。
硬いボードはレスポンスはあってそれはそれで楽しいけれど、乗りこなすためにはパワーが必要。
ターンしようとしても綺麗にボードがしならない曲がらない。
身体から離れた部分に一番の重量物のボードがそれぞれあるので取り回しも悪い。
ファットなボードだとどうしても重くなっちゃいますよね。
それで取り付け位置等も含め色々とテストしている中で、やはり、しなやかなボードのしなやかな部分を上手く使えるほうがコントロールがしやすく重量も軽い。
結果、取り回しが良く操作性が軽いということが解っていました。
硬いボードを取付け位置によって動かすのか。
柔らかいボードを取付け位置によって規制するのか。
後者のほうが重量を軽くでき、しなやかさを活かせ、操作性が軽く楽にコントロールできます。
結果スノースクートをコントロールする楽しさが気持ち良さに繋がる。
それが ”G-2ボード” であり、トータルで設計した “STYLE-G” モデルとなっています。
手前味噌ですが、色々と乗ってみて現在のスノースクートシーンにある他社製も含めたファット系ボードの中では一番クセが少なく操作性が抜群に良いですよ。
取り留めのない文章になってしまいましたが、まだ伝えきれていないような感じもしますね…
とにかく乗ってもらえたら良さが分かります!
気になりましたら JYKK STYLE-G 是非1台!
よろしくお願いします。
長文読んで頂きましてありがとうございました。